名前という呪い

 「呪(のろ)い」というとオカルティックなイメージを持たれる方もいると思うが、実はそうではない。呪いは、科学的かどうかは別として実在する論理的なものである。
 人が一番最初にかけられる呪いは、名前をつけられることである。名前によってその人はある型にはめられ、制御されるのだ。そう「型」である。名前というのは境界を生み出すのだ。個人で呼べばその人が振り向く。会社で呼べばその社員が振り向く。
 逆に名前をつけるということは、境界をはっきりさせなければつけることはできない。あなたがもしすばらしい仕事の手法を独自に編み出したのならば、それに名前をつけるべきである。それによりそれは他人にも認知可能なものとなる。そして、仕事の手順それぞれに名前をつけるべきである。それによりそれは他人に伝承可能なものとなる。もし、名前がつけられないのであれば、もう一度その手法を練り直すべきである。それはまだ手にはなりきれていない、あなたのただの感覚に過ぎないからである。