なぜExcelの仕様書・設計書が嫌いなのか

 わしはExcelで書いた仕様書・設計書(以後ドキュメント)が嫌いだ。なぜExcelで書いたドキュメントが嫌いなのか、なぜExcelよりはWordのほうがいいと思っているのか、ドキュメントに求められるものからExcelよりWordがいい理由を論じてみたいと思う。
 まず、ドキュメントに求められることは、設計者の意図をコーダに伝えることである。つぎに、設計者とコーダの備忘録として機能することが求められる。つまり、あとから見たときそのソフトがどういった構造であったかが容易に知ることができるようになっている必要があるのだ。

 このことからドキュメントは、読み物として読解平易でなければならない。また、検索性が高くなければならないのだ。これらの要件を満たす文書作成手法としてアウトラインなどの論理構造化が存在する。さらにドキュメントは、初版で完成を見ることはまずない。つまり、更新の平易さも求められる。この点においても論理構造化という考え方は役に立つ。

◎ポイント
ドキュメントは

  • 読み物として読解平易
  • 検索性が高い
  • 更新平易

であることが望ましい。

 そもそもExcelを使いたがる人の言い分の多くが「思ったところに文章をおきやすい」というのがある。これはわしから言わせるとおかしな話である。DTP ならともかく、そんなことをする必要がどこにあるのか。そういうことをいう人に限ってアウトラインがめちゃくちゃである。大体、更新をかけたときに初版で思ったような位置にまたその文章をおけるかどうかもわからないのだ。文章の置き位置にこだわるあまり、ちょっと文章を入れるだけで全体のレイアウトを変えるなどという疲れる作業が発生することすらある。そんなものだから、Excelで作られたドキュメントは押しなべて良好なメンテナンスがなされていない。

 人間は、「頭の切り替え」という言葉あるようにもともと単一様式の作業を繰り返すのがもっとも効率がよく、多様な様式に対応するにはつどワンクッションが必要である。それは単一様式の作業を繰り返すよりは少なからず余分な労力(物理的・メンタル的双方の)を要することを意味する。つまり、文書も単一的な調子で進んだほうが読むほうは疲れず、そのため理解も進む。そのためにも論理構造化は重要である。Excelで書かれたドキュメントは多くの場合、インデントの深さがページによってまちまちであったり、著者の勝手な都合で文章があちらこちらに散在している場合が多い。これは「思ったところに文書をおきやすいから」というExcel採用理由の功罪である。読み手は、自覚せずともこれのせいで疲れるのである。このなんともいえない疲弊感は、ドキュメントの通読への集中力を欠かせる。よって、読み間違い、見落とし、レビュー不足が発生するのである。

 と、マイナスな面からExcelドキュメントを批判したが、では、わし的に理想とするドキュメントとはどういったものなのかを次回書こうと思う。それを実現しようと思うと、おのずからExcelではなくWordが選択肢となるはずである。