「存在」とは?

 あなたは、いったい「何」であろうか? 私が思うに私の、そしてあなたの本質は霊魂とも称される純粋な「存在」というものである。
 人というのは生まれた以上、さまざまな「枠」にはめられる。「法」の「枠」を抜ける者をアウトローという。「社会」の「枠」からはみ出してみたいという願望の発露を「つっぱる」という。しかし、どんなにがんばっても必ず何かしらの「枠」にはまり続ける。そう。究極の「枠」とは人間の体そのものだからである。

 全能に限りなく近い「存在」は、主物質界、つまり「この世」にとどまるには何かしらに宿らなければならない。それはあるときは人間という物質になるのである。そうすると「存在」はこの物質にさまざまな制限を受ける。思考は「脳」というバイオコンピュータに従ったものでなければならなくなり、三次元的にしかものを捕らえることしかできず、順次的にしか物事を判断できなくなる。

 だが、眠っているときは別である。眠るというのは身体の機能の多くを休止状態にする。脳も例外ではない。このとき「存在」と主物質界の結びつきが一時的に弱くなる。そうすると「存在」は本来の力の一部を取り戻す。つまり「夢」である。「夢」は、非常にあいまいに感じるかもしれないがあらゆることを一瞬で知覚する。考えてみて欲しい。「夢」では、自分がどういう立場にあるか一瞬でわかっているはずである。

 では、何からその知覚を得ているのか。つまり夢を見ているとき「存在」はどこにいるのか? それこそが、古来より「隠れ里」と呼ばれている異界か、妖精の国「ティル・ナ・ノーグ」か、はたまた「バイストンウェル」なのだと思う。

 そう。我々は、主物質界にばかりいるわけではないのである。