なぜExcelの仕様書・設計書が嫌いなのか その3

 このタイトルでまだまだ続きそうな気が……。で、今回は、ドキュメントの検索性についてを論じてみようと思う。
 ドキュメントとはいうまでもなく、仕様や設計について書き記したものである。このドキュメントにおいて検索性とは何かといえば、それはもちろん目的のものがいかにすばやくひけるかを意味している。それはつまり、目的箇所の指示性の高さと同義になってくると思う。指示性とは、たとえば電話越しで打ち合わせをした際、意図した部分を見てもらうのにすんなりとそれを指し示せるかどうかである。

 文書の検索性は古来より工夫が重ねられてきた。まずはなんといっても目次である。これがあるのとないのでは、検索性が大きく違う。あらゆる文書において目次がない、目次が間違っているというのは言語道断である。このように重要性の高い目次であるが、これを手動で作るのは非常に面倒である。また、版を重ねるごとにページ構成がかわりそれに伴って目次を作り直していてはいくら時間があってもたりない。ここはやはり、自動生成したいものである。少なくともWordは、このページ作成機能においてはウィザード形式であり、操作が(Excelにくらべて)平易である。

 1冊あたりのページ数が少ないので目次はいらないと思うのはナンセンスである。たしかにそれはそうなのだが、その分、文書数が多くなるはずだ。実はこの書化というのが曲者なのである。ドキュメントの種類が多くなれば、その分、知りたいことがどのドキュメントに書いてあるかを調べるための手立てが必要になってくる。それはつまり、冊数の多い百科事典には必ず(しかも1冊分ほどの厚みで)『総合索引』というのがついてくるが、それと同等のものが必要となってくるということである。もし、それを準備しない場合は、チューブファイル(キングファイル)なりなんなりを片っ端からひっくり返してみなければならないというはめになる。

 さて、ドキュメント単体の話に戻そう。目次の次に必要となってくるのはリファレンス(=参照)であろう。つまり、『詳しくは32ページ参照』のようにすることである。これをExcelで実現するのは非常に難しい。また、分書化しすぎても難しい。参照先が別冊になってしまう可能性があるからだ。しかし、このような記述がない場合は、読み手の意識は散漫する。「その内容を詳しく知りたい場合は、どこを見ればいいのだろうか」、「単に後述と書いてあるが、どれぐらい後ろに書いてあるのだろうか。あまり後ろなら忘れてしまわないうちに参照したい」などと思うからである。

 最後に図表番号をつけることも有意義であろう。「○○の値っていくらだっけ?」「表3.2.4に書いてあります」というようにスムースなコミュニケーションが可能になるからである。また、図表番号を用いない場合は「下表のように」「左図で示すように」と常にレイアウトを気にしなければならない。版を重ね、文章量の増減でどうしても表が「下」におけなくなった場合は、「下表」と書いてあるすべての部分を書き直さねばならなくなってしまうのである(ただし比較的新しいWordにはこの点も自動化する機能がある)。しかし、「表3.2.4によると……」のように書いておけば、レイアウトにほとんど気を使う必要がなくなる。この図表番号を自動的に採番し、図表に付加する機能も Wordには存在する。さらにはそこから図表索引を自動的に作る機能もあり、これは検索性の大幅な向上に寄与するだろう。

以上が、検索性についてである。次回は、更新性について論じてみたいと思う。